すれ違う気持ち達①

「はぁぁ⤴!?何それ!マジで許せんっ!!」
『これ、やっぱ強子に話したの間違いだったかな?…』
即断即決即行動、私とは真逆の性格の友人〔強子〕のノーズブレスは荒々しさを増し、目は血走り、怒りのボルテージが上がって行く。
「ちょっ…!ちょっと、強子落ち着いて!…ぁ…」
立ち上がり、急ぎ足で歩き始めようとする強子の揺れ出した袖を食い気味で掴む。
つまづきそうになりながらも何とか強子の猪突猛進は阻止できたが、無意識の内に口から放たれた大声が館内に響き渡る。
静かな館内で急に立ち上がって放たれた大声の発生源へと無数の視線が一気に集まる。
「す、すいません…。」
時が止まったかの様な一瞬の静寂の後、視線は離れていき、館内は日常を取り戻す。
『図書館でする話じゃなかったかも…』
後悔と共に恥ずかしさが押し寄せてくる。
そして、すぐに恥ずかしさが後悔を追い抜いて見えなくなるぐらい突き放し、圧倒的速さで優勝です。
「また赤くなってんじゃん!館内ではお静かに。完熟トマトさん⤴」
よくある変なイジりがにやける口元からこぼれ落ちてきた。
『あんたのせいだろ!』
と思いながらも、こんな話をココでした私が原因であるわけで…。
「とりあえず、外で続き話そうか」
それを聞いた強子の笑顔は一瞬で激おこプンプン丸に戻ってしまい、怒り顔にある口が開く。
「いや、必要ない。そいつぶっ飛ばす!」
『それ言うと思った…。』
私の為に動いてくれるのはありがたいけど脳筋過ぎだよ強子。令和だよ?
そんな事を考えてしまった隙に向かい合っていたはずのプンプン丸は後ろ姿に変わり、私を置いてけぼりにしていく。
「ちょっ、ちょっ待ってよ強子!」
だが、そんな事では強子の強歩は止まらない。
『そもそも、あんた場所知らないでしょ。どこ行くの?』
急いで駆け出す私の腕が即座に強めで掴まれる。
『急に何っ!?』
その掴まれた手から辿って行くと、しかめっ面の老人へと辿り着いた。
その目は静かに怒りを燃やしている。
全力で振りほどこうとするが掴んだその手は離れない。
『くっ!コイツっ!!』
その時、老人の口元が動き出す。
「廊下は走らない!」
小声で言い放たれたと強い口調が私の耳に届く。
『何だと!?』
どうやら強子を追いかけようと無意識の内に走り出していた様だ。
「後、お静かに。」
そう言い放つと掴まれた手から解放される。
『しかも、またお静かにできなかったのか…。』
申し訳なさと恥ずかしさで、一気に顔が真っ赤に染まる。
「す、すいません…。」
老人は小さく頷き、奥にあるテーブルへと向かって歩き始めた。
『お恥ずかしい!お恥ずかしいよ!
しかも痴漢かと思ったよ…。』
恥と申し訳なさで頭の中がいっぱいになってしまった女子大生は真っ赤な顔をうつむかせて出入口へと歩いて行く。

赤レンガ風の入口脇で強子の強歩が止まっていた。
『良かった…。』
そして私に気付いたプンプン丸が話し掛けてきた。
「ねぇ!どこ!?」
主語が見つからない、この質問は普通に聞くと記憶喪失の様にも聞こえる。

ーーー 続きは、書き足して更新します。 ーーー

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