珊瑚の並木が揺れる台地。高所の頂きから下界を見下ろす幻獣は、蒼角を掲げ、鬣をなびかせる。高所に聳え立つ険しい崖を登るハンターは、幻獣の住む頂きを目指す。崖に生える蔦を力強く摑みながら、雲を突き抜ける程高い崖を、這い上がる様に登り切った視界に、静かに佇む幻獣の姿が映し出される。一瞬の沈黙の後、武器を手に、走り出したハンターに高鳴り声を上げる幻獣。頂きで響き渡る高鳴り声は、下界へと降りてゆく。近づいて来るハンターに、勢いよく駆け出す幻獣は珊瑚の砂粒を蹴り上げながら、蒼角を突き出し、突進を始める。勢いよく正面に迫ってくる幻獣に、力強く振り切られた矛先は蒼角をかすめ、その衝撃耐えた幻獣はハンターの身体を突き飛ばす!突き上げられた身体は、後方に吹き飛び、落ちた先の地面を転がる。珊瑚の砂地に片腕を付け、立ち上がった傍らに立つ幻獣は、自分を取り囲むように落雷を落としてゆく。頭上の雲が光ると同時に落ちてくる落雷に、逃げる様に飛び込んだ身体の傍らで地面が音を立て、弾け飛んで行く。立ち上がりながら振り返り、目にした光景は、落雷が落ちたと思われる幻獣の周りに、えぐれた地面を作り出していた。いくつかの、えぐれた地面の中心に佇む幻獣は、ゆっくりと振り返り、静かにハンターを見つめる。危険を感じたハンターは、幻獣に回り込む様に走り出す!その直後、高鳴り声を上げた幻獣は、狙い落す様にハンターに向けて巨大な稲妻を落す!薄々感づいていたハンターは、光った瞬間に合わせて飛び込む様に跳躍する。倒れ込む様に地面に滑り込んだ身体の傍らに落ちてきた巨大な柱の様な稲妻は地面を爆発した様に激しく吹き飛ばし、直撃は間逃れたものの傍らに倒れ込む身体は、弾け飛ぶ珊瑚の砂粒と共に吹き飛ばされ、地面を転がる。起き上がる視界に帯電し、青白い電気を身にまとう幻獣の姿が映し出される。視界の先で佇む幻獣を中心に、周りへと伸びてゆく肉眼でも確認できる程の青白い電気の帯に、ハンターの脳裏にあの時の光景が蘇り、思わず息を吞む。珊瑚の並木が揺れる高所。雲海を見渡せる頂きで、伸びてくる青白い電気の帯は、ついにハンターの脚元へ到達する。
古龍の代表的な存在とも言える鋼龍は、行動範囲が広く各地で目撃されている。調査を進める内、この新大陸でも痕跡が見つかり、遂に居場所を特定する事が出来た。翼竜に摑まりこの地に降り立ったハンターは、溶岩の冷え固まった地面を駆け抜け、高所を目指す。噴煙上がる大空を見渡せる開けた高所。溶岩の冷え固まった地面から無数の小さな結晶が連なり生える。溶岩の冷え固まった地面から生える小さな結晶を踏み歩く四つ脚は、ゆっくりと巨体を揺らしながら散歩をする。頑丈な鋼に包まれた大きな身体からしかやかな尻尾を生やし、胴体から生える巨大な翼は、羽ばたく度に強風を発生させる。その地に足を踏み入れたハンターの視界の先で、見上げる程長い首の先に付く頭部から青い瞳が見下ろす。立ちはだかる視界の先の強敵に走り出したハンターに、古龍の咆哮が大空を駆け巡る。ビリビリと伝わってくる咆哮を肌で感じながらも、怯む事無く結晶の生える地面を駆けていく。叫び終わり、振り向き直す頭部の傍らまで辿り着いたハンターは、鋼の頭部に向けて、構えた武器を勢いよく振り下ろす!だがそれは、鋭く睨んだ様に見えた瞳に、矛先が振り下ろされる直前で蛇行する様に動いた巨体の前脚に阻まれ、突き飛ばされたハンターは転がった地面に脚具を突き立て、滑り止める様に受け身を取り、立ち上がる。衝撃は少なかったとはいえ、巨体に似合わない俊敏な動きは厄介だ。再び走り出そうとする視界に、鋼龍の大きく開いた口から勢いよく放たれた圧縮された空気の塊は地面の結晶を弾き飛ばしながら、ハンターへと勢いよく飛んでくる!直線的に放たれた空気弾に、真横に転がりかわした身体の傍らを、空気の塊は勢いよく通り過ぎてゆく。だが、空気の塊にまとわりつく風の勢いは、強風にも匹敵する程強く、いきなり吹き荒れる強風に屈み、身動きが取れなくなってしまったハンター目掛けて勢いよく飛び掛かる鋼の牙は、その身体を噛み付き飛ばす!無防備な身体を守る防具を貫き、身体に突き刺さる鋼の牙。飛び掛かってきた勢いで空中に弾き飛ばされた身体は、落ちた地面の結晶を砕き、砕け散った結晶の欠片は勢いよく飛び散り防具の隙間から入り込むと身体に突き刺さり、転がる。嚙み傷と、結晶の刺さる痛みに耐えながら、立ち上がるハンター。視界を戻すと傍らに立っていた鋼龍が横目で見下ろす。振り向きざまに薙ぎ払う様に口から放たれた圧縮された空気に、逃げる間もなく捕まったハンターの身体は、大きくのけ反る様に尻餅を付いてしまう。その姿を見下ろす鋼龍は、翼を大きく広げ、風がその翼をなびかせてゆく。ハンターは、見上げるその姿に風を操っている様な感覚を思わせられていた。次の瞬間、大地を力強く蹴り、跳躍した巨体は風を巻き上げる様に回転しながら大空へと舞い上げる。それに寄り添うように力強く回転しながら巻き上げられた風は、一瞬にして巨大な竜巻へと姿を変える。突如、目の前で起った天災に、為す術も無く呑み込まれてゆくハンターに、巻き上げられてゆく岩や結晶がぶち当たる。油断すれば自分も一瞬で吹き飛ばされてしまう状況に、必死になって地面にしがみ付く。無数の小さな結晶が連なり生える高所。突如襲い掛かってきた天災に呑み込まれ、眼も開けられない程に吹き荒れる巨大な竜巻の中で必死になって地面にしがみ付くハンターを、大空へと舞い上がった鋼龍は、鋭く睨み、急降下する!