【初代ポケモン・赤】中二病ポケモンマスターへの道 ブログ小説①

二階の自分の部屋。ファミコンで遊ぶ少年は、今年で10歳になる。「…………よし!そろそろ出かけよう!」お気に入りの帽子を被り、リュックを背負うと一階へ通じる階段を降りていく。一階の広間には大きなテーブル、椅子に座る母親は、ブラウン管テレビに映る午後のワイドショーを今日も眺めている。「…そうね 男の子はいつか旅に出るものなのよ。うん…… テレビの話よ!」そんな話を聞く息子は、いつもの様に苦笑いを浮かべる。だが、ここの家庭には父親の姿が無い。どうやら複雑な家庭の様だ。「そういえば、隣りのオーキド博士が、あなたを呼んでたわよ」その言葉を聞き、少年は博士との約束を思い出し、玄関のドアを開ける。どういった要件かは聞かされていないが、研究所に来るように言われていた。外に出た少年に、ゲームばっかしてんなよと言わんばかりに太陽の光が降り注ぐ。眩しい光に目を覆う視界は徐々に晴れてゆき、いつもの風景が現れる。そよ風の吹き抜けるマサラタウンには、自宅、幼馴染の家、オーキド博士の研究所の3つの建物が建っている。この3軒と関係のない外にいる住民は、どこで寝泊まりしているのか?…そんな事は子供が考える事ではない!少年は自宅から徒歩数秒で着く研究所の手動ドアを開く。中に入ると開けた部屋で数名の研究員がイソイソと働く姿が目に入ってきた。そこから見える奥の部屋、博士の研究室に見慣れた後ろ姿が佇んでいた。近ずく少年に振り返る見慣れた姿の少年は「なんだー サトシか!オーキドの爺さんなら居ねーよ」と、捨て台詞を放ち、呆れた様に、ほくそ笑む姿に少し苛立ち、研究所を後にする。…しばらく探し回ったがオーキド博士の姿はない。「いい年こいて、かくれんぼか?」そんな考えが頭をよぎる。だが、この小さな街、マサラタウンには身を隠せる所などない。マサラタウンから北に伸びる一本の通路。もしかしたら、北の街に買い出しにでも出かけたのか…。少年は、通路の草むらへと足を踏み入れようとする。その時だった!「おーい!待てー!待つんじゃあ!」いきなり背後から聞こえてきた大きな掛け声に、一瞬ビクつき振り返る視界に、慌てて駆け寄ってくる白衣の爺さんは、息を切らす。「危ないところだった!草むらでは野生のポケモンが飛び出す!こちらもポケモンを持っていれば闘えるのだが……そうじゃ!……ちょっとわしに付いてきなさい!」半ば強引に付いて行かされる形になった少年は、自分が草むらに入ろうとする瞬間まで背後から観察されていたのではないかと疑問を抱き、白衣の後ろ姿を前に、少しゾッとする。研究所の手動ドアを開き広間に入って来る二人に気付き、振り返る幼馴染は「爺さん!待ちくたびれたぞー!」と腕を組み、ポーズを決めながら話しかけてくる。「シゲルか?………おお そうか わしが呼んだのじゃった!」この言葉を聞き少年は、自分を呼んでいたことも忘れていたんだろうと気付かされる。「ちょっと待っておれ!ほれ サトシ!そこに3匹ポケモンが居るじゃろう!」指を差された先のテーブルに3つ並んだボールが目に入ってきた。「ほっほ!モンスターボールの中にポケモンが入れてあるんじゃ。昔は、わしもバリバリのポケモントレーナーとして鳴らしたもの!老いぼれた今はポケモンも3匹しか残っとらんが お前に一匹やろう!……さぁ 選べ!」それを聞いた幼馴染は「あッ!ずるい!爺さん!俺にも くれよお!」と不機嫌そうに言い放ち、じだんだする。武勇伝を聞かされ、苦笑いを浮かべていた少年の顔は驚きへと変わり、幼馴染を見る横目は先に選べる優越感で、無意識の内にニヤケ顔へと変わる。「まー!慌てるな シゲル!お前も好きな物を取れ!」そう言い、孫をなだめる博士には目もくれず、少年は、このハイリスクハイリターンに瞳を輝かせ、真剣にボールを見つめている。「キミにきめた!」何故か気が付けば、自然とそのセリフを吐いていた。少年の選んだボールから出てきたのは、尻尾の先に炎を灯す全身を真っ赤に染めたトカゲポケモンだ。「このポケモンは ほんとに元気がいいぞ!」微笑み、語り掛けてくる博士に、満面の笑みを浮かべる。「じゃ 俺は これ!」猛ダッシュし、ボールを掴んだ幼馴染は、それを高々と掲げ「俺の選んだポケモンの方が強そうだぜ」と、偉そうに見下ろしてくる。根拠のない強がりと分かっていながらも、表情は自然と歪んでしまう。少年は博士にお礼を言うと、高鳴る胸に研究所を後にしようと駆け出してゆく!「待てよ!サトシ!」後ろから聞こえてきた呼び声に少年は足止めを喰らう。「せっかく爺さんにポケモン貰ったんだぜ!……ちょっと俺の相手してみろ!」自信満々に近ずいて来た幼馴染は、返事も聞かずにポケモンを繰り出してきた!無視して立ち去ろうとも思ったが、コイツの天狗の鼻をへし折ろうとする闘争心が勝り、気が付けばモンスターボールに手が伸びていた。「ゆけっ!ヒトカゲ!」決めゼリフと共に勢いよくポケモンが飛び出してきた!周りの研究員と共に博士がざわつく。幼馴染の繰り出してきたポケモンは、全身を青く染め、硬い甲羅で身を守る亀の子ポケモンだ。ならば先手必勝!少年の掛け声に、距離を一気に詰めた鋭い爪が、青い甲羅に襲い掛かる!「かわせ!」その掛け声に、体勢を翻した青い甲羅は、近ずいて来た爪を寸前でかわし、かわされた爪は勢いよく書物を引き裂く!破けた書物をかき集める研究員の傍らで、檄を飛ばす幼馴染の掛け声に、青い甲羅は勢いよく体当たりを放つ!「かわせ!」少年の掛け声に合わせるように緩やかに回避した真っ赤な身体の傍らを通り過ぎた青い甲羅は、書物がびっしりと詰まった本棚に、勢い良くぶつかり書物の山がバラバラと音を立て、崩れ落ちてゆく。青ざめてゆく研究員とは対照的に博士の顔は赤く染まってゆく。睨み合う両者に、周りの惨状は目に映らない。一瞬の静寂の後、先に仕掛けたのはヒトカゲだった!間合いの近い状態からの引っ搔く攻撃に、かわし事の出来なかった甲羅は引っ搔き飛ばされる!床に着地したゼニガメを畳みかける様に詰め寄ってくるヒトカゲ!その時、幼馴染の檄が飛ぶ!近寄ってくるヒトカゲに、背中を向け尻尾を振るゼニガメ。「しまった!罠だ!」少年が気付き声を上げるが、時すでに遅し!視界の先で振られる尻尾に目を回し、無防備になるヒトカゲの姿があった。「今だっ!!」その一声に、勢いよく走り出したゼニガメの力強い体当たりがヒトカゲの脇腹に命中する!勢いよく弾き飛ばされたヒトカゲの身体は研究所で一番大きな本棚に激しくぶつかり、その衝撃に、本棚は勢いよく倒れ、大量の書物をまき散らす!少年は慌ててヒトカゲに駆け寄り、目を回すヒトカゲを抱きかかえる。「やりー!やっぱ俺って天才?」高笑いするライバルに、悔しいがグウの音も出ない少年の表情は梅干しの様にしわくちゃになってしまう。「ばっかもーーーん!!」研究所内に響き渡った叫び声は、紛れもなくオーキド博士の物だった。その叫びを聞き、周りを見渡す二人は我に返る。倒れた本棚、床一面に広がる書物を片付ける研究員達。そして、激昂し、鬼の形相を真っ赤に染め上げたオーキド博士がこちらを見ている。「あちゃ~」っと言わんばかりの申し訳なさそうな表情を浮かべる二人は首根っこを摑まれ、研究所から放り出される。…「やっちまったな」と顔を見合わせる二人。「よーし!他のポケモンと闘わせて もっともっと強くするぜ!」とライバルは開き直り、立ちあがる。「サトシ!そんじゃ あばよ!」キザにピースを投げ、ニヤケ見下ろし去っていった。鼻で笑われた様な感覚に「アイツには負けられない」そう思い、立ち上がる。青空が広がり、心地良い風が吹く中、少年は歩き始める。

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